知っているつもりでも、
知らないことばかりの町、それが亀戸。
この新連載では、
亀戸の知られざる店に潜入し、その魅力を紹介しよう。
記念すべきディープスポットVol. 1は……
この外観でピンとくる方は、
かなりの亀戸ツウとお見受けする。
こちらの店、お世辞にも立地が良いとは言えないのだ。
店の場所は、後ほどお伝えするとして、
なぜにこちらがディープスポットか、というところから話をはじめよう。
蔵前通り沿いの『藤すし』を覚えてらっしゃるか?
明治通りから左折し、亀戸天神社へ向かう右手。
『藤すし』という店があったのを覚えているだろうか。
こちらの寿司店は諸事情があり、10年余前に姿を消している。
もちろん味が悪かったとか、経営がどうこうという話ではない。
その証は、まさに今回紹介する『旬菜 藤』に訪れれば、すぐにわかる。
『藤すし』のご店主が4年半前(2016年5月時点)に出店したのが、
『旬菜 藤』なのだ。
で、どんな店か?
「店のスタイルはお通しに現れる」
そんな迷言を信じる呑ん兵衛も多い。
『旬菜 藤』はこの迷言が当てはまるかもしれない。
ネギトロである。
刻みネギが振られている。
ネギトロの旨味はいわずもがな、ネギの刻み具合に、ご店主の腕とこだわりを感じずにはいられない。
肴はどうか?
メニューブックと別に”おすすめメニュー”があるのもうれしい限り。
ご店主の背後に控える冷蔵庫に貼られた”おすすめ”から、
「鳥皮ポン酢」を頼んでみたところ、
出てきたのがこれだ。
おいおい、から揚げか!?
身が付いている。
そして、味がいい!
油淋鶏と言われても紛う食べ応えと味わい。
これがディープスポットたる所以だ。
次に頼んだのが、「舞茸の天ぷら」。
天ぷらは間違いないだろうと想像していたが、
これがまた、いい。
おそらくは新鮮な油、そして温度管理も徹底している揚げ具合。
なにより、これを見て欲しい。
生姜が生おろしだ。
風味が違う! 舞茸に合う! に決まっている!
チューブの生姜を出されては、このコーナーに登場することはなかっただろう。
このあたり、
しっかりとシゴトをされてきた”ご店主の生き様”を感じる。
なんか忘れてない?
そう、『旬菜 藤』のご店主は”鮨職人”だ。
元・鮨職人ではない。
だから、〆にこんな楽しみが待っている。
そう、握りだ。
この景色だけでも酒のアテになるほどの鮮やかな手つきが、
あったりまえのように繰り広げられる。
さっきまで揚げ物を食べていたのに……、
酒も回って、気分は寿司店に顔を出した常連気分だ。
といっても、この大皿はお隣さんの寿司。
さて、〆の鮨といえば、これしかない!
かんぴょう巻きだ。
ぼそっと、わさびを多めにしてもらえるか呟いてみる。
見事な笑顔が返される。
さらに、胡麻を打ってもらえるかと呟いてみる。
今度は笑い声だけが返ってくる。
このやりとりが楽しくなくて、何が呑ん兵衛の楽しみだろうか。
さて、場所は?
いかんせん、ディープスポット。
訪れるか否かはあなた次第。
さらに、はっきり言うならば、
初対面同士の宴会や、盛り上がりだけを求める飲み会にはおすすめしない。
ひとりで、または気の知れた仲間(4人までくらいがよい)で訪れていただきたい。
場所は、この3枚の写真をヒントとしていただきたし。
と、謎掛けはここまでとし、
店情報を明かしておこう。
今後も「亀戸ディープスポット探訪」をお楽しみに。
旬菜 藤(しゅんさい ふじ)
亀戸3-6-11
03-3682-2717
営業/17:00-23:00
定休日/月曜日
※営業時間、定休日は変動することあり